放射性ストロンチウムの性質と挙動

放射性ストロンチウムには、90Srと89Srがある。
長寿命の90Srは、半減期29年、0.20MeVのβ粒子を放出して

90Y(イットリウム)に崩壊する。 90Yは高エネルギーのベータ線(2.28MeV)を放出する。
このベータ線は水中で10mmまで届き、90Srはベータ線を放出する 放射能としては

健康影響が大きい。

 

体内挙動

@経口摂取されたストロンチウムの平均約20%が消化管から吸収される。

A妊娠や授乳のようなカルシウム要求量の増加がみられる生理状態の時は、
 ストロンチウムの吸収も同様に高くなりうる。

B幼児と小児を対象とした調査で、食事由来ストロンチウムの 約15〜30%が吸収される。
 (ヒトでは新生児時期にストロンチウムの吸収増加が示唆されている。)

Cヒトの体内における吸収されたストロンチウムの分布はカルシウムと似ており、
 総体内負荷量の約99%が骨格中に存在する。

D食事による90Srの摂取の約4.75%が成人骨格に取り込まれている。

E年齢によって変化するストロンチウムの骨格取り込みが、骨の成長率が
 他の年齢に比べて高い幼児期と青年期において、最大で約10%となる。

F妊婦の骨格に含まれるストロンチウムは妊娠期間で胎児に移行され得る。

Gストロンチウムの胎児への移行率は0.012 から0.24までと幅広く、
 より高い値は成人期で曝露した母体に関連し、より低い値は小児期または
 青年期で曝露した母体に関連していた。

H動物実験では、マウス及びラットともに母体への投与が
 最大骨格成長時に行われる時、胎児への移行は最も高かった。

I妊娠末期の胎児のストロンチウム分布は、大部分の
 ストロンチウム負荷量を骨格中に保有する母体の分布と似ている。

Jストロンチウムはヒトで母乳中に入り、授乳期間で新生児に移行され得る。

K出産3日後までの期間の29人の健康な女性から採取した初乳サンプル中の
 ストロンチウム濃度は、出産20分前に採取された静脈血から分離した血清中の
 濃度と同程度であることが示されている。

L吸収されたストロンチウムは授乳期間中、母乳に排出される。

M1949〜1956年の間に飲料水中及び食品中の放射性ストロンチウム及び

 放射性セシウムに曝露されたテチャ川の集団において、白血病及び固形がんで

 死亡した数が増加したと報告されている。





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