原発事故から出る放射性物質の種類

・放射性クリプトン、放射性キセノン
常温でも気体の放射性核種で、原子炉中のほぼ全量が放出される。重い気体。

「放射能雲」が通過中に強烈な放射線を浴びせる。「放射能雲」の通過後には残らない。

 

・ヨウ素131
ヨウ素は184℃で気体になるため、原発事故で非常に放出されやすい。
天然のヨウ素はすべて安定なヨウ素127で、放射性のヨウ素は存在しない。

ヨウ素は必須微量元素で、咽喉(のど)の近くの甲状腺に集められ

成長ホルモンの成分になる。呼吸や水・食物をとおして放射性ヨウ素を取りこむと、

ふつうのヨウ素と同じように甲状腺に集められ、甲状腺が集中的に被ばくする。
ヨウ素131の半減期は8日なので半年後にはほとんど消滅する。

しかし遺伝子についた傷が残ると、甲状腺ガンを引き起こす。

チェルノブイリ原発事故による子どもの甲状腺ガンは事故の5年後に現われ始め、

10年後にピークになった。

 

・セシウム137
セシウムも678℃で気体になるため、原発事故で放出されやすい。
セシウム137は、半減期が30年と長い。またセシウムは土壌粒子と結合しやすいため

長い間地表から流されない。このため、短寿命の放射性核種やヨウ素131が

消滅したあとにも残る。地面から放射線を放ち続け、農作物にも取り込まれて、

長期汚染の原因になる。
旧ソ連では、セシウム137が1平方メートルあたり150万ベクレル以上

(1平方メートルあたり0,004グラム以上!)の地域を強制立退き地域にした。

高濃度汚染地域は、チェルノブイリ原発から約250kmの範囲に点在している。
過去には、1960年代末までの大気圏核実験によって1憶8500万京ベクレルという、

膨大な核分裂生成物がばらまかれ、地球全体を汚染した。

核実験によるセシウム137は、現在も海水・地表・大気中に残っている。

 

・プルトニウム239

プルトニウムの原子核は酸素などと比べ大きく重いため、

大部分は事故原発の敷地周辺にとどまると言われているが、

プルトニウムよりはるかに重い黄砂は風に乗って中国からやってきますが…。
プルトニウム239は核分裂反応でつくられるのではなく、

核分裂反応により放出される中性子を燃料棒中のウラン238が吸収して生み出される。

プルトニウムは94個の陽子をもつ。天然には陽子を92個もつウランよりも

陽子数が多い元素は存在しないので、陽子を93個以上もつ人工元素を超ウラン元素という。

 

・ストロンチウム90

高温の核燃料の中からセシウム-137よりストロンチウム-90が放出されにくいと言われる。
放射性同位体ストロンチウム90の半減期は29.1年。

化学的にはカルシウムのような動きをするため、骨や歯に蓄積する。
ストロンチウム90は主に食品や水を通じて体内に入る。

摂取すると骨の癌や白血病の原因となるといわれている。





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